〜揺られ揺られる、日々の思いを、君へ、あなたへ〜

category: 物語  1/1

-街角のピアニッシモ~001-

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「Pohohohoooo!!!!」つんざくようなクラクションで、利弘は我に返った。彼、山本利弘は、この十年間と言うもの、音大を出てからの十年間、交通整理のアルバイトをして過ごしている。始めは、ただ給料が良いからと言う理由で始めたアルバイトだった。過ぎていく日々の大半を小さな街の路地裏で過ごして。利弘は、学生時代、と言うか今現在もなのだが、オーケストラの指揮者を志していた。それなのに、なぜこうゆう音楽とは関係...

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-すれ違い-

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「おはよう、、」 昨日から降り続いた雨は、佳代の瞳を曇らせるに十分だった。将樹は、二週間前に買ったばかりのジーンズの裾ばかりを気にしていた。汚れ具合が気に入らないジーンズは、襟足のハネ具合が気に入らない髪型と同じくらい気に入らないと言わんばかりだ。 佳代は、湿気で丸く跳ね上がる自分の髪型に子供の頃から、異常なコンプレックスを持っていた。今日も将樹が足下を気にする度に、襟足を否定されているような意味...

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誠実な男。(改題)

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ギタンギタン。シュー。ギタン。ゴトスカ。ヒュー。町外れの薄焼けた踏切を三両の列車が通り過ぎた。踏切が渇いた音を立てて持ち上がると、小松良平はいかにもダルそうに歩き出した。営業マン風の男が、足早に過ぎ去った。お洒落なウーマンが速やかに行き過ぎた。良平は、手紙をしたためていた。誠実な恋文を郵便局に持っていく所だった。ポストではなく。郵便局へ。誠実に。だが、お洒落なウーマンはあまりにお洒落だった。良平は...

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